気の毒な工事会社。下町キッチンからこんにちは。プロジェクトは入口・足場が全て。

これから紅葉シーズンを迎える。山へ紅葉狩りに行くと、観光で近場のダムへ立寄ったりすることもある。

冒頭の写真はダム??

それとも、地下の貯水槽??

ではなく、

以前、話した隣地の工事現場の様子。うちのキッチンの窓から撮影した。

あっという間に建物の基礎ができ、作業用の「足場」も組まれた。

こっちの窓からすぐに足場を伝って家出できそうな感じだ。

活発な子供だったら、行きかねない。僕が小学生だったら行っている。いや、今でも行きたいと時々思う。

窓からこの光景を見てふと思い出した。

学生時代に小学校4年生(男の子)の家庭教師をしていた。運動神経抜群、好奇心旺盛な子で勉強する癖を身に付けるところからのスタートだった。

興味を持った音楽やアイドル、気になりだした女の子の話を聞いたり。しばしば、2階の勉強部屋から窓枠や手すりを「足場」に隣の家の屋根などに飛び移って「先生~!! こっちおいで~。」と行ってしまうような子だった。(ドラマで言えば「先生と生徒の禁断関係」のワンシーンではなく、完全に「ホームドラマ」のワンシーンのようだった。)

机に向かって座るまでに最低1時間。30分勉強しては、15分雑談。トータル4-5時間はいつもお邪魔していた。

「家庭教師やります!」の張り紙をスーパーの店長にお願いして貼らせてもらい、個人契約でスタートした時給制(1回2時間)だったが、到底4-5時間分はもらえないと思い、2時間分でと僕からお願いした。

教え子のお父さんは板前でご夫婦で仕出し屋を経営しているお宅だった。お父さんは、池袋の居酒屋店の板長として勤務している日もあった。

結果、毎回「2時間分給料+賄い付き」という家庭教師になった。夕方、勉強の前に「外で食べれば最低2,000円~3,000円以上」はするような美味しい食事をわざわざ僕のために出してくれた。今までの人生を振り返ってもあれほど何回も「うな重」を食べたこともない。洋食屋さんの生姜焼き定食やハンバーグ定食、懐石刺身定食のような学生にとっては夢のようなご馳走をいただいた。

たまにお父さんと勤務先の池袋の居酒屋に一緒に飲みに行っては、「テリー伊藤は同級生でさぁ~本名はテルオなんだよぉ。テルオだからテリー。」といった、よもやま話をしたり、草津や館山などへの家族の温泉旅行に一緒に行ったりしたのはとても楽しかった良い思い出だ。

また、教え子の成績が伸びた時などは、お父さんやお母さんから、『先生、今月は少し多めに入れておいたよ。ボーナス!!!』と給料をいただくなどとても良くしていただき今でも感謝の気持ちは忘れられない。

と、何故か皮肉なことに目の前の「足場」を見て懐かしく感じた。

さて、本題。

隣地工事は、様々な社会情勢などもあり、建築資材の納品が遅れることを想定し少し工事期間に余裕はみているようである。ここにきて台風などもあり僕が事業者だったら本当にハラハラするような状況だ。

それにしても今回の工事、近隣の評判がよくない。どちらかと言えば失敗するケースだったりする。

いかにも不動産屋らしい感じがする。プロジェクトの進め方やリスクヘッジという観点からすると素人か??みたいな感じさえする。「下町の商業地で年寄りも多いし、サッと造ってサッと売っちゃえば何とかなるでしょ。問題ないっしょ。」みたいな画が思い浮かぶ。

隣に住む僕は不動産出身、向かいや周辺も古くから工務店などを営む地場の同業系の人も多く、皆心得ていて持ちつ持たれつだと分かっている。

それでも工事が土曜の朝7時から始まったり、住宅販売の看板やのぼり旗が勝手に人の家の前に置かれたり。

とうとうゴミ収集の月曜の朝にゴミ集積所に2tトラックを停めて大量の資材を搬入して。さすがに、近隣から警察に通報されたようで警官がかけつけたとも聞いた。

別の日には、職人同士の結構な口喧嘩が自宅玄関前で始まった。下町の路地エリアであり、声は筒抜け。作業音ならまだしもさすがに罵詈雑言の口喧嘩がしばらく続き耳障りがすぎた。

僕からデベロッパー責任者に連絡して来てもらい、工事時間や職人態度、作業音低減、近隣への配慮の仕方の工夫・改善のお願いをした。

デベロッパーと工事会社とのコミュニケーションが上手くとれているかも微妙だ。

恐らく、工事会社はデベロッパーから厳しいスケジュールとコストを言われカツカツでやっているのではないかと思う。最近は職人の人手確保も困難と聞くので工事会社は、限られた予算の中で職人の数だけでなく質を揃えるのも大変なんだろうと気の毒に感じる。

また、「始め良ければ終わりよし」で、事業は最初が最も肝心であるにも関わらず、そのデベロッパー責任者に確認したところ、今回近隣への最初の挨拶廻りをデベロッパーも工事会社もちゃんとやってない。担当者・責任者に直接聞いたところ、1度は廻ったが、留守だったので・・・ということだった。情けない。。。誰か指導できないのかとさえ思ってしまう。

僕も近隣説明を経験してきているが、とにかく最初にかかっている。最初でこけたらずっと引っ張り、後々まで地域に受け入れられない根付かないお荷物プロジェクトになってしまうことがある。

日本には数多くの地域に根付いた技術力のある素晴らしい企業がある。しかし、人材不足であったり、これまで培ってきたノウハウが上手く伝承できてなかったり、下請けでコストやスケジュールが厳しく頑張ってもなかなか業績が上向かない、という悩みやジレンマを感じている経営者は多いのではないでしょうか?

LINKERは、目の前の事業を進めつつも如何に少しずつ改良していくかを一緒にお客様と悩み考え、一つずつ実現可能なものに取り組んでいく会社でありたいと思っています。

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