「MD」とは、マーチャンダイジング(「merchandising」)の略で、商品企画と訳される。
「いつ、いくらで売るか?」といった商品政策や品揃えの計画のことなどを「MD計画」といい、流通や小売りで主に使われるマーケティング用語だ。
不動産業界では「MD計画」という言葉を主に商業施設の店舗構成計画の意味として使う。
それぞれのお店が「店内でどんな商品をいくらで売ろうか?」と考えるように、商業施設が「建物全体を一つのお店とした時にどんな店を揃え何をどうやって売っていくか?」と考えるといったイメージだ。
余談だが、業界人は、商業施設のことを「SC」(ショッピングセンターの略でエスシー)とか「館」(やかた)とか言う。
商業施設の開発・運営にはこのMD計画(施設のコンセプトや店舗構成、店舗の並びや見え方)がとても重要になる。
「そばとうどん」、「子供が喜ぶ駄菓子とキャラクターグッズ」、「チェーン展開していない地域密着こだわり食材や飲食」、「家電と家具・寝具」を扱うお店をを集めたり横並びにさせることで相乗効果を図るなどはその一例だ。
商業施設(館)全体で「どれくらい集客できるか。売り上げられるか。」は施設開発・運営側にとって「各店舗からどれくらいの家賃をとれるか」に直結する死活問題だ。
15年前に先輩と二人で開発担当者として事業を進めていた港北ニュータウンの商業施設(「みなも」)は、「一日中家族で滞在しても楽しめ、末永く地域に愛されるような商業施設にしたい」との地元地権者たちの想いを形にするプロジェクトだった。
その想いを踏まえ施設のコンセプトやMD計画を考え、自ら試行錯誤して店舗誘致(リーシング)も行った。
当時、会社同士の取引がなかった「くら寿司」さんを誘致しようと自分で思い立ち飛び込み、賃貸借契約や工事条件など度重なる協議や打合せを経て施設オープンと同時に開店してもらうことができた。
オープン直後から大行列になり、入店待ちは2時間になることもあり、くら寿司さんの店舗開発部の方とは想定以上の反響に喜びを分かち合ったのを今でも鮮明に覚えている。
あれから15年。
小売りも飲食もネット通販や宅配が伸び、商業施設はより一層、リアル店舗だからこその工夫を求められるようになり、各社・各施設が生き残りをかけて全力でビジネスに取り組んでいる。
皆さんは、どういう商業施設やお店があったら行きたいと思うだろうか??
より一層多様な多くの人たちの声を拾い、より一層将来を見据えたまちづくりをしていかないといけない時代になった。
まち全体を一つの商業施設のように俯瞰して捉え、多くの人と一緒に様々な視点でまち全体のMD計画(そのまちのコンセプト・特徴作りと集客方法など)を真剣に考えなければいけない時がきていると強く思う。
【参考】